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データ分析記事 / 小選挙区で落選、同じ選挙の比例では圧勝——政党の実力を覆い隠す「ねじれ」選挙区

Data Journalism実データ由来(グループA)

小選挙区で落選、同じ選挙の比例では圧勝——政党の実力を覆い隠す「ねじれ」選挙区

2024年・2026年の衆院選で、小選挙区では負けたのに、同じ選挙のその政党の比例ブロック得票率は高かった候補を発掘。党としての支持は明確にある地域で、1対1の小選挙区の構図だけが議席に結びつかなかったケースを実データで見る。

小選挙区では負けたのに、同じ選挙のその政党の比例ブロック得票率を見ると実は強かった——という「ねじれ」た候補者を探した。小選挙区とブロック比例の実データが両方そろっているのは2024年(第50回)・2026年(第51回)の2回だけなので、この記事はこの2回に絞って検証する。基準は「小選挙区で落選し、かつ自党のブロック内比例得票率が本人の小選挙区得票率を6ポイント超上回り、その比例得票率自体も12%を超えている」候補者。

この「ねじれ」は個々の候補者の実力不足を意味するとは限らない。同じ党から複数候補が競合区で乱立していたり、無所属票との分裂が起きていたりする場合、小選挙区の得票率は下がっても政党全体としての比例票は動かないためだ。この記事が言えるのは「得票率の差」という事実だけで、その原因が候補者側にあるのか選挙区の構図にあるのかは、得票データからは判別できない。

2024年:最大の乖離は秋田3区、近畿では維新の候補が並ぶ

9件

該当ケース

2024年

+14.3pt

最大の乖離

小川のりよ

2024年に最も乖離が大きかったのは秋田県3区の小川のりよ氏(立憲民主党で、本人の小選挙区得票率12.0%に対し、同ブロックでの立憲民主党の比例得票率は26.3%——14.3ポイントの開きがある。党としての支持は明確に存在する地域で、小選挙区の1対1の構図では票が集まらなかったケースだ。

件数として目立つのは京都・兵庫・奈良の近畿ブロックで日本維新の会の候補が6件並んでいる点だ。近畿ブロックの維新の比例得票率は23.3%あったのに対し、加古きいちろ氏(兵庫県第9区、小選挙区13.1%)、木村元紀氏(京都府第3区、小選挙区14.2%)、なかじま秀樹氏(京都府第6区、小選挙区15.9%)……と、いずれも自党の比例での強さを6.910.2ポイント下回る小選挙区結果に終わっている。近畿は維新の「地力」自体は高いが、小選挙区では自民・立憲などとの一騎打ちで競合区が多く、党の地力がそのまま議席に反映されない構造がうかがえる。

データを表で見る
項目補足
秋田県3区14.3pt小川のりよ(立憲民主党)・小選挙区12.0% vs 比例26.3%
兵庫県9区10.2pt加古きいちろ(日本維新の会)・小選挙区13.1% vs 比例23.3%
大分県2区9.8ptえとう征士郎(自由民主党)・小選挙区18.7% vs 比例28.5%
鳥取県1区9.6ptあさくら浩之(立憲民主党)・小選挙区9.9% vs 比例19.5%
京都府3区9.1pt木村元紀(日本維新の会)・小選挙区14.2% vs 比例23.3%
京都府6区7.5ptなかじま秀樹(日本維新の会)・小選挙区15.9% vs 比例23.3%
兵庫県1区7.3pt一谷勇一郎(日本維新の会)・小選挙区16.0% vs 比例23.3%
奈良県2区7.3pt服部ちか(日本維新の会)・小選挙区16.1% vs 比例23.3%
京都府5区6.9pt道本たかや(日本維新の会)・小選挙区16.4% vs 比例23.3%
選挙区候補者(政党)小選挙区 得票率同ブロック比例 得票率
秋田県3小川のりよ立憲民主党12.0%26.3%
兵庫県9加古きいちろ日本維新の会13.1%23.3%
大分県2えとう征士郎自由民主党18.7%28.5%
鳥取県1あさくら浩之立憲民主党9.9%19.5%
京都府3木村元紀日本維新の会14.2%23.3%
京都府6なかじま秀樹日本維新の会15.9%23.3%
兵庫県1一谷勇一郎日本維新の会16.0%23.3%
奈良県2服部ちか日本維新の会16.1%23.3%
京都府5道本たかや日本維新の会16.4%23.3%

2026年:大阪で自民党候補が同じ現象に

14件

該当ケース

2026年

+14.0pt

最大の乖離

浦平よしひろ

2026年の最大乖離は和歌山県1区の浦平よしひろ氏(日本維新の会——小選挙区得票率9.2%に対し、近畿ブロックの維新の比例得票率は23.2%で、14.0ポイントの開き。2024年に維新側だった「ねじれ」の主役は、2026年には構図が反転して自民党に移る。

2026年は自民党が近畿ブロックの比例得票率を30.4%まで大幅に伸ばした年だが、大阪府内の複数の小選挙区では自民党候補の得票率が20%前後にとどまり、比例の強さがそのまま反映されていない。該当したのは松本直高氏(大阪11区、18.2%)、かのう陽之助氏(大阪10区、20.0%)、はだはるひさ氏(大阪16区、20.3%)、永井まさし氏(大阪6区、20.7%)など6件。大阪は日本維新の会が依然として小選挙区で強い地盤を持つため、自民党にとっては「党全体は伸びているのに、大阪の個別選挙区では勝ちきれない」ねじれが起きている。全国的な自民党の躍進(次の記事で詳しく見る)の中で、大阪だけがやや異なる動きを見せた地域だったと言える。

データを表で見る
項目補足
和歌山県1区14.0pt浦平よしひろ(日本維新の会)・小選挙区9.2% vs 比例23.2%
大阪府11区12.2pt松本直高(自由民主党)・小選挙区18.2% vs 比例30.4%
京都府1区10.8pt佐々木たかし(日本維新の会)・小選挙区12.4% vs 比例23.2%
大阪府10区10.4ptかのう陽之助(自由民主党)・小選挙区20.0% vs 比例30.4%
長崎県1区10.4pt浅田ますみ(自由民主党)・小選挙区29.5% vs 比例39.9%
大阪府16区10.1ptはだはるひさ(自由民主党)・小選挙区20.3% vs 比例30.4%
大阪府6区9.7pt永井まさし(自由民主党)・小選挙区20.7% vs 比例30.4%
大阪府12区8.8pt北川晋平(自由民主党)・小選挙区21.6% vs 比例30.4%
大阪府5区8.5pt杉田みお(自由民主党)・小選挙区21.9% vs 比例30.4%
京都府3区8.5pt木村もとき(日本維新の会)・小選挙区14.7% vs 比例23.2%
香川県2区8.2ptせと隆一(自由民主党)・小選挙区33.8% vs 比例42.0%
山口県3区8.0ptしのだ知宏(中道改革連合)・小選挙区12.6% vs 比例20.6%
選挙区候補者(政党)小選挙区 得票率同ブロック比例 得票率
和歌山県1浦平よしひろ日本維新の会9.2%23.2%
大阪府11松本直高自由民主党18.2%30.4%
京都府1佐々木たかし日本維新の会12.4%23.2%
大阪府10かのう陽之助自由民主党20.0%30.4%
長崎県1浅田ますみ自由民主党29.5%39.9%
大阪府16はだはるひさ自由民主党20.3%30.4%
大阪府6永井まさし自由民主党20.7%30.4%
大阪府12北川晋平自由民主党21.6%30.4%
大阪府5杉田みお自由民主党21.9%30.4%
京都府3木村もとき日本維新の会14.7%23.2%
香川県2せと隆一自由民主党33.8%42.0%
山口県3しのだ知宏中道改革連合12.6%20.6%
宮崎県1たけい俊輔自由民主党32.4%39.9%
滋賀県3でじしんご日本維新の会16.5%23.2%
比較しているのは「本人の小選挙区得票率」と「自党の同ブロック比例得票率」であり、厳密には分母(選挙区の有効投票とブロック全体の有効投票)が異なる2つの割合だ。同一人物の小選挙区票と比例票を突き合わせているわけではない——このデータセットには候補者個人の比例名簿情報(重複立候補や惜敗率)が含まれていないため、個人単位の「ねじれ」はそもそも計算できず、政党単位の乖離だけを扱っている。

この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。

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