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データ分析記事 / SNSはどこまで支持率を動かしたか——「103万円の壁」・参政党・石丸現象を実データで見る

玉木雄一郎の写真

玉木雄一郎

支持率1%→14%

石丸伸二の写真

石丸伸二

9億回再生・支持率は動かず

写真(左から): 玉木雄一郎石丸伸二|出典: 首相官邸CC BY 4.0地方創生図鑑CC BY 4.0
Data Journalism実データ由来(グループA)

SNSはどこまで支持率を動かしたか——「103万円の壁」・参政党・石丸現象を実データで見る

国民民主党の政党支持率急伸(1%→14%、議席7→28)、参政党のSNS発の躍進は実際に世論調査の数字として確認できる。一方、9億回超のYouTube再生を記録した石丸伸二現象は、全国の内閣支持率・政党支持率には直接表れていない——バズと支持率は必ずしも一致しない、その正直な切り分け。

「SNSでバズった政治的な出来事は、実際に世論調査の数字を動かしたのか」——このサイトの世論調査トラッキングデータを使って、具体的に検証できるケースを3つ集めた。2つは実際に支持率という形で裏付けが取れた。もう1つは、バズの規模は本物だったが、 このサイトが追っている「全国世論調査の支持率」という指標には直接表れていない——その場合は無理に結びつけず、そのまま書く。

ケース1:国民民主党「103万円の壁」——泡沫政党から政党支持率14%へ

国民民主党は長らく政党支持率1%前後の「弱小政党」として扱われてきた——これは印象論ではなく、このサイトの世論調査データで直接確認できる。NHK系列の月次調査(2018年5月〜2022年5月、48回分)で同党の政党支持率は最低0.1%・最高でも1.7%、平均0.9%と、4年間ただの一度も2%に届いたことがなかった。2024年、所得税の非課税枠「103万円の壁」の引き上げを前面に打ち出すと、 SNSやネット上の投票マッチング診断サービスとの相性の良さも指摘されるなかで、若年層・無党派層を中心に支持率が急伸した。 日経新聞・テレビ東京の調査では、2024年12月時点で政党支持率14%(立憲民主党9%を上回る)を記録している——月次データ4年分の最高値(1.7%)の8倍を超える水準で、調査会社が違うことを踏まえても、非連続の跳ね上がりであることは動かない。

28議席

2024年10月衆院選・議席

解散前は7議席

14%

政党支持率(2024年12月)

日経・テレビ東京調査

9%

同時点の立憲民主党

国民民主党が上回った

支持政党なし世帯や若年層にリーチしやすいSNS発の政策論争が、実際の政党支持率の急伸、そして2024年10月の衆院選での議席7→28という結果に結びついた、 数少ない明確な実例と言える。

日経・テレビ東京の14%だけを見ると偶然の外れ値にも見えるが、同じ月に他社が測った数字を並べても跳ね上がり自体は動かない。

データを表で見る
項目
日経・テレビ東京14.0%
毎日新聞13.0%
共同通信12.6%
読売新聞12.0%
産経新聞・FNN11.3%
朝日新聞11.0%
NHK7.9%
時事通信5.7%

ケース2:参政党——YouTube・TikTok発の支持率上昇

参政党はYouTubeやTikTokでの発信を軸に支持を拡大してきた政党だ。2025年7月の参議院選挙直後には、報道各社の調査で野党第一党級の13%まで支持率が急伸したと報じられた (前月比+6pt)。同年9月の産経新聞・FNN調査では9.9%を記録し、自民党(22.2%)に次ぐ2位——国民民主党(9.3%)を上回る水準だった。 新聞・テレビへの接触時間が短く、SNSに触れる時間が長い30〜40代の層への浸透が、既存政党にはない伸びを支えているという指摘がある。

国民民主党・参政党のどちらも、SNS上の話題そのものではなく、実際の政党支持率調査の数字として上昇が確認できる。これは「バズった」で終わらず、 測定可能な指標に反映された実例だ。

ケース3(正直な空振り):石丸伸二現象は国政の世論調査には表れていない

2024年7月の東京都知事選で、石丸伸二氏に関連するYouTube動画は総再生回数9億回超(切り抜き動画が大半)とも報じられる規模のバズを起こし、 本人は約166万票を獲得して現職に次ぐ2位となった。NHKの出口調査では10代・20代の支持率で最も高い数字を記録している。

ここまでは実データで裏付けられる。だが石丸現象は東京都知事選という地方選挙の出来事であり、 このページが追っている「内閣支持率」「政党支持率」という全国世論調査の指標には、性質上直接反映されようがない (石丸氏は国政政党の党首でも閣僚でもなかった)。実際、同時期の内閣支持率・政党支持率の推移を見ても、石丸現象に対応するような特有の変動は確認できない。

0%15%30%45%60%20242024内閣支持率(NHK) / 2024-01: 26.4%内閣支持率(NHK) / 2024-02: 25%内閣支持率(NHK) / 2024-03: 25%内閣支持率(NHK) / 2024-04: 23%内閣支持率(NHK) / 2024-05: 24%内閣支持率(NHK) / 2024-06: 21%内閣支持率(NHK) / 2024-07: 25%内閣支持率(NHK) / 2024-08: 25%内閣支持率(NHK) / 2024-10: 44.2%内閣支持率(NHK) / 2024-11: 40%内閣支持率(NHK) / 2024-12: 38%
  • 内閣支持率(NHK)
データを表で見る(月次)
年月内閣支持率(NHK)
2024-0126.4%
2024-0225%
2024-0325%
2024-0423%
2024-0524%
2024-0621%
2024-0725%
2024-0825%
2024-1044.2%
2024-1140%
2024-1238%

都知事選・石丸氏の得票(2024年7月7日投開票)の前後で見ても、内閣支持率は6月21%→7月25%と緩やかな動きに留まり、10月の内閣交代(岸田内閣→石破内閣)ほどの変化は起きていない——このグラフの中に「バズ」に対応する特有の段差は見当たらない。

これは「バズは無意味だった」という結論ではない。都知事選という別の指標(得票・年代別支持)では明確に効果が出ている。 ただし、このサイトが扱う全国世論調査という指標だけで見れば「バズが全国政治の支持率を動かした」とは言えない、というだけの話だ。 違う指標を混同して「SNSが世論を動かした」と一括りにしないよう、ここでは切り分けて書いている。

まとめ:バズは「政策・党のブランドに乗ったとき」に支持率を動かす

3つのケースを比べると、SNSでの話題が全国世論調査の支持率という形で確認できたのは、話題が特定の政党・政策(103万円の壁、参政党というブランドそのもの)に直接紐づいていた場合だった。 一方、石丸現象のように地方選挙の候補者個人に集中したバズは、その選挙区・その選挙の得票には強く効いても、全国世論調査の指標には表れていない。 「SNSが政治を動かす」という主張を検証する際は、どの指標で動いたのか(全国支持率か、個別選挙の得票か)を区別する必要がある——今回の3例はその違いをそのまま示している。

この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。

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