データ分析記事 / 内閣支持率のボラティリティ:どの政権が最も乱高下したか
内閣支持率のボラティリティ:どの政権が最も乱高下したか
NHK世論調査の月次内閣支持率(1998〜2026年、二次集計と複数社の合算で拡張した系列)から、前月比の変動幅を内閣ごとに機械的に集計。歴代最も乱高下したのは菅直人内閣——参院選敗北からの急落、代表選勝利での急騰、震災対応での崩落まで、1つの内閣の中で前月比の変動幅が平均9.6ポイント(標準偏差7.9ポイントも14内閣中最大)という数字が出る。
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「どの政権が一番荒れたか」——世論調査サイトなら誰でも聞きたくなる質問だが、印象論で答えられがちな質問でもある。これを機械的に決着させるため、当サイトは世論調査トラッキングのNHK系列を二次資料で2024年3月まで延長し、2024年4月以降は複数社の月次まとめ記事でNHKの数字を穴埋めした。結果、1998年から2026年までの14内閣すべてについて、NHK単独の月次内閣支持率で前月比の変動を計算できるようになった (同じ調査機関で揃えないと、ハウスエフェクトの違いが「変動」に混ざってしまう——理由は別記事の通り)。
内閣支持率の「荒れ具合」ランキング(NHK単独系列、前月比の変動幅)
集計方法は単純:NHKの月次支持率を暦月で連続する2カ月ずつ比較し、変動幅の絶対値を内閣ごとに平均・標準偏差した (調査が実施されなかった月をまたぐペアは数えない——2011年3月は東日本大震災でNHK調査自体が中止されており、 2011年2月→4月のような欠測をまたぐ「変動」は実体のない数字になるため除外している。2024年9月・2025年9月も同様に、 自民党総裁選で現職首相が退陣表明した月で内閣支持率調査そのものが行われていない)。
データを表で見る
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 菅内閣 | 9.58pt | 12回の前月比ペア、最大24pt(2010-09) |
| 鳩山内閣 | 6.38pt | 8回の前月比ペア、最大11pt(2010-05) |
| 森内閣 | 6.33pt | 12回の前月比ペア、最大16pt(2000-06) |
| 麻生内閣 | 6.27pt | 11回の前月比ペア、最大24pt(2008-12) |
| 安倍内閣(第1次) | 6.09pt | 11回の前月比ペア、最大13pt(2007-06) |
| 福田内閣 | 4.90pt | 10回の前月比ペア、最大14pt(2008-05) |
| 小渕内閣 | 4.53pt | 19回の前月比ペア、最大14pt(1998-09) |
| 石破内閣 | 4.42pt | 10回の前月比ペア、最大8pt(2025-03) |
| 小泉内閣 | 4.41pt | 64回の前月比ペア、最大26pt(2002-02) |
| 菅(すが)内閣 | 4.33pt | 12回の前月比ペア、最大14pt(2020-12) |
| 野田内閣 | 3.60pt | 15回の前月比ペア、最大8pt(2011-11) |
| 岸田内閣 | 3.35pt | 34回の前月比ペア、最大13pt(2022-08) |
| 安倍内閣(第2-4次) | 3.27pt | 89回の前月比ペア、最大13pt(2017-07) |
| 高市内閣 | 2.00pt | 8回の前月比ペア、最大6pt(2026-03) |
値は「前月比変動幅の絶対値」の内閣ごとの平均。標準偏差・最大変動月は表内サブラベルを参照。データはNHK世論調査(1998〜2022年は二次集計、 2022年6月〜2024年3月はnplll.comの二次集計、2024年4月以降は複数社月次まとめ経由)。
菅直人内閣:参院選敗北、代表選勝利、そして震災対応——1つの内閣で3回の急変動

写真: 首相官邸ホームページ (CC BY 4.0)
菅直人内閣(2010年6月8日発足)は発足直後こそ支持61%と滑り出しは悪くなかったが、その後1年強の間に少なくとも3回、 性質の異なる大きな支持率変動を経験している。
- 支持する(NHK)
データを表で見る(月次)
| 年月 | 支持する(NHK) |
|---|---|
| 2010-06 | 61% |
| 2010-07 | 39% |
| 2010-08 | 41% |
| 2010-09 | 65% |
| 2010-10 | 48% |
| 2010-11 | 31% |
| 2010-12 | 25% |
| 2011-01 | 29% |
| 2011-02 | 21% |
| 2011-04 | 27% |
| 2011-05 | 28% |
| 2011-06 | 25% |
| 2011-07 | 16% |
| 2011-08 | 18% |
- 2010年7月(-22pt、61%→39%):消費税増税発言が響いた参議院選挙で民主党が過半数を失う大敗。
- 2010年9月(+24pt、41%→65%):小沢一郎氏との激しい民主党代表選を制し再選、政権基盤の安定期待から急騰——歴代でも上位に入る単月上昇幅。
- 2010年10〜12月(-17pt、-17pt、-6ptと3カ月連続下落):尖閣諸島中国漁船衝突事件の対応や普天間問題の混乱で急落。
- 2011年3月は震災でNHK調査自体が中止(このサイトのデータにも欠測として正直に記録している)。震災後の2011年7月には支持16%まで低下し、同年8月末に退陣した。
9.6pt
変動幅・平均
14内閣中1位
7.9pt
変動幅・標準偏差
14内閣中1位
24pt
単月最大変動
2010-09、民主党代表選勝利で+24pt
対照的に安定していたのは長期政権——ただし新しい内閣への注意点
ランキングの下位(=変動が小さい)には第2次〜第4次安倍内閣(89回の前月比ペア、平均3.27pt)や岸田内閣(34回、平均3.35pt)が並ぶ。 月数が十分に長く、かつ変動が小さい内閣という意味では安倍内閣(第2-4次)が「20回以上の前月比ペアがあるサンプルの中で最も安定していた内閣」と言える。
まとめ:支持率の「荒れやすさ」は政権の性質と地続き
乱高下ランキングの上位(菅・鳩山・森・麻生・第1次安倍)は、いずれも短命に終わった内閣、あるいは末期に急落した内閣と重なる。 逆に下位(安倍第2-4次、岸田)は5年以上・3年弱と続いた長期政権だ。支持率が大きく動く内閣ほど短命という、別記事の「支持率は理由なく動かない」という結論と符合する形の相関が、変動幅を機械的に集計しただけでも見えてくる。
この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。
