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もし選

データ分析記事 / 新党「中道改革連合」はなぜ得票18%で議席7しか取れなかったのか

野田佳彦の写真

野田佳彦

千葉14区

小川淳也の写真

小川淳也

香川1区

写真(左から): 野田佳彦小川淳也|出典: Makochan12.9CC BY-SA 4.0石垣のりこ事務所CC BY 3.0
Data Journalism実データ由来(グループA)

新党「中道改革連合」はなぜ得票18%で議席7しか取れなかったのか

サイト本体の野党一本化シミュレーションのロジックをそのまま2026年に適用。比例で自民党に次ぐ支持を集めながら小選挙区でわずか7議席に終わった構造を、実データで分解する。

2026年2月の第51回衆院選で、新党「中道改革連合」(公明党・立憲民主党の一部議員が合流して結成)は比例代表で得票率18.2%(1,043万票)を集めた。これは自民党に次ぐ全国2位の規模で、日本維新の会(8.6%)や国民民主党(9.7%)を上回る。ところが小選挙区(289議席)での獲得議席はわずか7議席にとどまった。この記事では、サイト本体のシナリオシミュレーター(野党一本化スライダーのロジック、applyOppositionUnification)を使い、「票の分裂」がこの差にどれだけ効いていたかを実データで分解する。

289小選挙区のうち202区に中道改革連合の候補が立ったが(残り87区は候補を立てず)、勝てたのは7区のみ——勝率3.5%。同じ選挙の比例票では自民党に次ぐ支持を集めていた党が、小選挙区ではほぼ全敗に近い結果に終わった。

実際に勝てた7選挙区を全部見る

まず、実際に取れた7議席がどんな勝ち方だったかを名前つきで並べる。

選挙区当選者得票得票率
宮崎県1渡辺創72,28040.3%
京都府3泉ケンタ68,53336.6%
千葉県14野田よしひこ99,32445.0%
岩手県1しなたけし73,20944.2%
香川県1小川じゅんや73,23743.0%
鹿児島県3野間たけし88,51850.8%
北海道10神谷ひろし74,90850.0%

この7人を2024年の同じ選挙区の実際の当選者と突き合わせると、はっきりした共通点がある:7人全員が、2024年に立憲民主党のラベルで同じ選挙区に当選していた本人だ(例:千葉県第14区の野田佳彦氏は2024年に立憲民主党として145,821票で当選、香川県第1区の小川淳也氏は同82,549票で当選——7区すべてで2024年当選者と2026年当選者の氏名が一致することを、候補者別得票データで直接確認した)。つまり新党のラベルで新たに開拓できた選挙区はゼロで、2024年から個人の地盤を持っていた候補だけが党名の変更を生き延びた、というのが7議席の実像だ。この構図は2024年→2026年比較の記事の「立憲民主党→中道改革連合」7区という移動集計とも一致する。

「一本化」シミュレーションでは7議席が81〜106議席に

7議席

実際の議席

289区中、勝率3.5%

81議席

野党一本化シナリオ

現地最強の野党候補に集約

106議席

中道改革連合に限定して集約

候補を立てた202区中

サイト本体の野党一本化シナリオ(自民以外の候補の得票を、その選挙区で最も強い野党系候補に100%集約する、満額移し替えの上限ケース)を2026年の実データにそのまま適用すると、自民党が獲得した248議席のうち108議席(43.5%)が反転する計算になった。このうち74議席は中道改革連合の候補が現地で最強だった区で発生しており、実際の7議席と合わせると81議席まで伸びる。

さらに踏み込んで、「中道改革連合が候補を立てた202区に限り、自民(与党)以外の票をすべてその候補一人に集約したら」という、より的を絞った計算をすると106議席(勝率52.5%)まで届く——候補を立てた区の過半数で理論上は勝てる計算になる。実際の7議席との差、最大99議席分が「票の分裂」で失われた計算上の上限だ。

この節の議席数は予測ではなく、実際にあった得票をそのまま足し合わせる「満額移し替え」の上限ケース。手法と前提(何を仮定していないか)は野党一本化シミュレーションの記事の手法セクションと同一だ。

得票率4割超で落選した候補もいる

202人の中道改革連合候補の個人成績を見ると、票の分裂の残酷さが最も濃く出るのは「本人が4割以上取っているのに落ちた」ケースだ。該当は23人:神奈川県第16区のごとう祐一氏(47.1%で自由民主党の佐藤まさし氏に敗北)、石川県第3区のこんどう和也氏(46.1%で自由民主党のにしだ昭二氏に敗北)、秋田県第2区の緑川たかし氏(45.0%で自由民主党の福原じゅんじ氏に敗北)、埼玉県第9区のすぎむら慎治氏(45.0%で自由民主党の大塚拓氏に敗北)など。小選挙区で4割の得票は、多くの年なら当選ラインを超える水準だが、2026年はそれでも足りない選挙区が複数あった。

データを表で見る
項目補足
神奈川県16区47.1%ごとう祐一——当選は自由民主党・佐藤まさし氏
石川県3区46.1%こんどう和也——当選は自由民主党・にしだ昭二氏
秋田県2区45.0%緑川たかし——当選は自由民主党・福原じゅんじ氏
埼玉県9区45.0%すぎむら慎治——当選は自由民主党・大塚拓氏
神奈川県9区44.8%笠ひろふみ——当選は自由民主党・上原まさひろ氏
北海道8区44.7%おおさか誠二——当選は自由民主党・向山じゅん氏

完全比例代表制なら、議席占有率は得票率にずっと近づく

別記事「もし日本が完全比例代表制だったら」で計算した通り、中道改革連合の18.2%の得票率を465議席の完全比例に当てはめると90議席(得票率にほぼ比例した水準)が得られる計算になる。実際の混合制での獲得議席(小選挙区7+比例3542議席)は、その半分にも届かない——小選挙区で得票率通りの議席に結びつかなかった分が、そのまま比例制との差になって表れている。

どこで「あと一歩」だったのか

「集約」の計算が実際の結果から最も大きく動く選挙区を並べると、地図上の偏りがはっきり見える。最大のジャンプは大阪府11区の村上のりあつ——本人の実際の得票率は16.8%だが、自民・公明以外の全候補の票を合算すると81.8%に達し、実際の当選者(日本維新の会中司宏氏)を上回る。上位8区のうち7区が大阪・兵庫・京都の近畿で、実際の当選者は7区で日本維新の会——つまりこのリストの大半は「与党に競り負けた」区ではなく、「自民以外」の票が維新と中道改革連合などの間で大きく割れていた区だ。ここでの「集約」は維新の当選者自身の票まで中道改革連合の候補に積み替える計算になっており、現実の政治で起こり得る想定というより「反自民票の総量がどれだけあったか」の測定として読むべき数字であることは、正直に断っておく。

データを表で見る
項目補足
兵庫県2区25.1%ふなかわ治郎——実際の得票率 → 集約後100%(実際の当選者:日本維新の会・阿部けいし)
大阪府11区16.8%村上のりあつ——実際の得票率 → 集約後82%(実際の当選者:日本維新の会・中司宏)
大阪府6区18.4%阪本洋三——実際の得票率 → 集約後79%(実際の当選者:日本維新の会・西田薫)
京都府2区13.1%河野ゆりこ——実際の得票率 → 集約後73%(実際の当選者:日本維新の会・まえはら誠司)
福井県2区40.1%つじ英之——実際の得票率 → 集約後100%(実際の当選者:無所属・斉木武志)
大阪府3区16.4%宇都宮ゆうこ——実際の得票率 → 集約後76%(実際の当選者:日本維新の会・東とおる)
大阪府12区21.5%たるとこ伸二——実際の得票率 → 集約後78%(実際の当選者:日本維新の会・藤田文武)
大阪府13区13.0%ホンダ平直——実際の得票率 → 集約後68%(実際の当選者:日本維新の会・岩谷良平)

なぜ得票率と議席がこれだけ乖離するのか

小選挙区は「その区で1位を取った候補が総取り」する制度なので、野党側の候補が複数(中道改革連合・国民民主党・日本維新の会・無所属など)に分かれて出馬すると、たとえ合計得票が与党候補を上回っていても、それぞれの得票が競合し合って誰も過半数・最大得票に届かない——という現象が起きる。これは日本に限った話ではなく、同じ小選挙区制を採るイギリス・カナダなどでも「票の割れ」は繰り返し議論されてきた(例:カナダの新民主党と自由党の左派票の競合、イギリスで改革党の躍進が保守党の議席を押し下げた2024年総選挙など)。政治学ではこの力学は「デュヴェルジェの法則」の裏返し(小選挙区制は新規参入政党に不利に働く)として広く議論されている。中道改革連合の18.2%対7議席は、この一般的な力学が2026年の日本で実際にどれだけ強く効いたかを、実データで定量化したものだ。

この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。

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