データ分析記事 / 世代交代シミュレーションの感度分析:前提を変えると結果はどれだけ動くか
世代交代シミュレーションの感度分析:前提を変えると結果はどれだけ動くか
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(実データ)で高齢化の進み方を裏付けつつ、政党支持の世代差という仮定の強さを0.5〜2倍に振ってみる。20年後の自民党の議席は45〜207の間で揺れ、点推定がいかに脆いかが分かる。
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「世代交代シミュレーションで見る『10年後・20年後の勢力図』」の記事では、サイト本体のシナリオシミュレーター(グループB)を1つの前提の強さだけで動かし、20年後の自民党の議席を139議席と推計した。だが「若年層ほど自民離れが強い」という前提(ILLUSTRATIVE_YOUNGER_VOTER_SKEW)は、そもそもどれくらいの強さで効くのか、開発者が決め打ちした1つの数字にすぎない。この記事では、その前提の強さを0.5倍から2倍まで振り、実際の高齢化ペース(国立社会保障・人口問題研究所 2023年推計・中位仮定)だけを固定した上で、結果がどれだけ揺れるかを正直に示す。
realAgingProgress()(実データ:IPSS令和5年推計の高齢化ペース)だけで、揺らしているのはapplyAssumedSkew()が使う「前提の強さ」(0.5倍〜2倍)——サイト本体のシナリオ⑧の裏側にある同じ関数をそのまま使っている。全体として依然としてグループB(仮定を含む推計)であることに変わりはない。20年後の自民党は45議席〜208議席、点推定の3倍近い幅
208議席
20年後・前提0.5倍
控えめな前提
143議席
20年後・前提1倍(点推定)
前の記事の推計値
45議席
20年後・前提2倍
強めの前提
実際の高齢化の進み方——IPSS中位推計では、2020年から2070年にかけて進む65歳以上割合の上昇(28.6%→38.7%)のうち61.4%分が、最初の20年間で進行する。ここは実データ——を固定したまま、「高齢化がどれだけ政党支持の世代差に転化するか」という前提の強さだけを0.5倍〜2倍に振ると、自民党の20年後の議席は45〜208議席の間で揺れる。前の記事が示した139議席という1点の推計値は、この幅のほぼ中央にすぎない——「20年後は139議席」という言い方自体が、実際にはかなり脆い前提の上に立っていることが分かる。
- 0.5倍
- 1倍
- 1.5倍
- 2倍
データを表で見る
| 0年後 | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.5倍 | 314議席 | 299議席 | 268議席 | 245議席 | 208議席 | 186議席 | 179議席 | 173議席 |
| 1倍 | 314議席 | 270議席 | 235議席 | 197議席 | 143議席 | 102議席 | 89議席 | 76議席 |
| 1.5倍 | 314議席 | 252議席 | 205議席 | 158議席 | 89議席 | 39議席 | 36議席 | 29議席 |
| 2倍 | 314議席 | 239議席 | 182議席 | 120議席 | 45議席 | 22議席 | 17議席 | 17議席 |
時間軸そのものは実データ——高齢化は「前倒し」で進む
この分析で唯一実データに固定されている時間軸の中身を、グリッドの数字で具体的に示しておく。IPSS中位推計に基づく「2020→2070年の高齢化の総進行を100とした場合の進捗」は、5年後9.9%、10年後21.8%、20年後61.4%、30年後84.2%——つまり50年分の高齢化の6割が最初の20年に、8割超が最初の30年に起こる。単純な直線換算(20年後なら40%)と比べて、このモデルの「20年後」は実データによってかなり前倒しされている。前のバージョンのモデルが直線換算だったことを考えると、IPSSデータの導入は結果の数字を体感以上に動かした改修だったことが、この進捗率から分かる。
もう一つ、グリッドの端も見ておく。30年後・40年後・50年後の行では、最も控えめな0.5倍の前提ですら自民党は186→179→173議席と、20年間で10議席分しか動かなくなる——高齢化の進捗が飽和に近づくため、時間を延ばしても結果がほとんど変わらなくなるのだ。このモデルで意味を持つ分岐は「前提の強さ」であって「何年待つか」ではない、という構造がグリッド全体からは読み取れる。
過半数割れの「時期」も前提次第で5年〜20年後まで動く
465議席中の過半数ライン(233議席)を自民党が下回る時期も、前提の強さで大きく変わる。前提を2倍まで強めると10年後には既に178議席まで下がり過半数を割るが、前提を0.5倍まで弱めると20年後でも207議席と、過半数(233議席)にはまだ届かないものの高い水準を保つ。同じ実際の高齢化ペースを使っていても、「過半数割れがいつ来るか」という問いへの答えは前提の強さ次第で5年から20年後まで動く——モデルが示せるのは「方向性」であって「時期」ではないことが、この幅から分かる。
立憲民主党側も同じだけ揺れる
184議席
20年後・前提0.5倍
控えめな前提
296議席
20年後・前提2倍
強めの前提
112議席分
幅
自民党が失う議席の受け皿となるモデル上の立憲民主党も、20年後で184〜296議席という同じ規模の幅を持つ。前提を強くするほど自民党が沈み、立憲民主党側が伸びる——これはモデルの設計上当然の裏返しであり、独立した2つの発見ではない。
- 0.5倍
- 1倍
- 1.5倍
- 2倍
データを表で見る
| 0年後 | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 30年後 | 40年後 | 50年後 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.5倍 | 89議席 | 102議席 | 132議席 | 151議席 | 184議席 | 200議席 | 203議席 | 207議席 |
| 1倍 | 89議席 | 130議席 | 158議席 | 190議席 | 228議席 | 256議席 | 268議席 | 276議席 |
| 1.5倍 | 89議席 | 146議席 | 184議席 | 219議席 | 268議席 | 299議席 | 294議席 | 298議席 |
| 2倍 | 89議席 | 154議席 | 202議席 | 244議席 | 296議席 | 294議席 | 295議席 | 290議席 |
なぜこの記事だけ「感度分析」という手間をかけたのか
将来推計を含む記事は、たいてい1つの前提の下での1つの数字(点推定)だけを見出しにしがちだ。だがその数字がどれだけ前提に依存して動くかを示さないと、読者は「139議席」という数字そのものが実データであるかのように受け取ってしまう危険がある。この記事は「高齢化の実際のペース」という実データ部分は固定した上で、「政治的な前提」という仮定部分だけを意図的に揺らし、その結果生じる45〜207議席という幅そのものを主役にした——これが、グループB(仮定を含む推計)の記事をどう正直に読むべきかの一つのモデルケースになるはずだ。
この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。
